拗らせた恋の果てに

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拗らせた恋の果てに

水野君とあった。 彼と会って食事をして。 バーに行き。 その流れで私たちは今、二人でベットのなかにいる。 もう、どうなってもいい。 心が枯渇している。 体が寂しがっている。 大好きだったはずの紺野君はあんな風になってしまった。 前に付き合っていた彼とは、どうしても本気になれずにあっという間に別れた。 前の彼とそうなった理由が紺野君だなんて、紺野君には言えない。 そして今日も、好意を持ってくれてる水野君に抱かれながら、こうして紺野君のことを思う。 女たらしの紺野君が私を誘った。 俺のセフレにならないかって。 私は今でもこんなに本気で好きなのに。 涙が溢れる。 わたしはこの想いをどうしたらいいの? 私は一人じゃいられない。 あの時もそうだった。 大学に入って、サークルの先輩といい雰囲気になった。飲み会のあと、二人きりになって。そのまま大人の関係になった。男性を初めてこの体に迎え入れたのは紺野くんじゃなくてその先輩だった。寂しかったから一人じゃいられなかった。 大好きだった紺野君とはキスまでの関係だった。 大学は紺野くんは剣道のスポーツ推薦で遠くに行ってしまったから。会えない日を待てなかった私は、大学の先輩とそのまま流されるように付き合うことになった。あんなに大好きだったはずの紺野君の事は私から手放してしまった。 遠距離恋愛だったはずの私たちは自然消滅のように離れていった。 私が一方的に離れていったのかもしれない。 ちゃんと別れ話をしたわけじゃない。 風の噂でそれを耳にした紺野君が私に言ってきた。 「彼氏…出来たんだって?」 なんでそんな風にきくの?俺がいるのにって、なんで怒らないの? 「今、幸せ?」 紺野君がわたしにさらに聞いてくる。 「うん、幸せだよ…」 「そっか…。」 静かに紺野君はそう言って静かに微笑んだ。 そんな奴やめろよって、なんで言わないの? 寂しい思いをしてごめんてなんで言ってくれないの? それだけ? 他に言うことはないの? そう思ったけど。 私たちはそれっきり。 今考えたら、それは紺野君の優しさだったのかもしれない。 だけど…。子供だった私にはその優しさが理解できなかった。 私はその事をずっと引きずってた。 私の上で腰を揺らすその大学の先輩の彼氏が紺野くんだったらよかったのになんてずっと思いながら付き合ってた。 だからそんなの続くはずかなかった。 それから就職して。 また同じことの繰り返し。 私のなかでの紺野君の存在が大きすぎて私を苦しめる。 職場の先輩に抱かれながら、私はまた目をつぶり、紺野くんだったらなんて思ってた。 そうしてまた同じように私は本気になれず付き合っていた彼から逃げ出した。職場も変えて今に至る…。 そんな紺野君と派遣先でなぜか偶然会ってしまった。 どうして今さら私の前に現れたの? あんなに忘れようと努力したのに。 他の人を愛そうとしたのに。 だめだった。 そんな彼が派遣先にいた時はすごく戸惑った。 だって。 ずっとわたしの心の中にいた彼は全く別人みたいに変わってしまっていたから…。 だけど。一番変わってしまったのは。 私なのかもしれない…。 だけど今でもやっぱり好きだった。 あんな風に変わってしまった彼のことがまだ好きだなんて知られたくないから。 わざとらしく気のないふりをする。 だって悔しいじゃない。 あんな風に女たらしな彼のことが今でも好きだなんて知られたら、私にもそうして欲しいみたいじゃない。 彼から離れたのは私のほうだって言うのに。 彼を信じて待つことが出来なかった。 私の心が寂しさに耐えきれなかった。私の体が人肌を恋しがった。 そうして自分の寂しさに負けた。 それなのに彼を責めることが出来るはずなんか…ない…。 せめて、彼が誰かと幸せになってくれてたら。そしたら私も諦められたのに…。
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