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嘘にかくれていた真実の愛
「沢井さんにはそんな風になって欲しくないから…。幸せになっていて貰いたいと思ってたのにさ。」
紺野君も私と同じこと思っていたんだ。私だって紺野君が誰かと幸せになっていてくれたら諦められたのに…。
「私の幸せって?」
「だから…、俺みたいにならないで、ちゃんと一人の人とちゃんと幸せになれって言ってんの。沢井さんが幸せになってくんなきゃ、俺が諦めた意味がないじゃん…。」
「え??」
いま…、何て言った…?
「だから!沢井さんに彼氏が出来たって聞いたから俺はやっと諦めたのに。
幸せだっていうから諦めたのにさ。
沢井さんが幸せじゃなかったら俺があんなに辛い思いして諦めたのに意味がないって言ってんだよ!
それともこの先もマジで続ける?
俺とのセフレの関係…。
俺は一緒に居られるならそれでも構わないけど?」
「うそ、紺野君…。諦めたって?」
「そうだよ、諦めた。
俺は今でもずっと、その事引きずってる。沢井さんが俺を待っててくれなかったこと。
だから俺は今でも怖くて他の人を本気で好きになれない。
マジで好きになっちゃったら、また逃げられちゃうのとか、怖いもんな。」
「え?紺野君?」
もしかして…、いま紺野君がそうなったのは私のせい…?
「もう、こんなことやめてくれよ。沢井さんらしくないって。
沢井さんは沢井さんらしく、前みたいに。向日葵みたいに顔を上げて幸せになってくれよ。」
「幸せになんかなれるわけ無いじゃない。お日様だった紺野君がそばで私を照らしてくれないんだから。
私はどこを向いて顔をあげたらいいの?
今でもこんなに好きなのに…。」
「え?」
紺野君のセフレの一人でもよかった。そばにいられるなら。
だって私は今でも紺野君が好きだから。本当はずっと、私も紺野君の事が好きだった。
だから彼とも本気になれなかった。
「沢井さん?」
「そうだよ。ずっと引きずってるのは私の方。あんなに好きだったのに、私から手放してしまったんだから。
今でもずっと、後悔してる。」
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