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二度目の告白
「俺は沢井さんがずっと好きだった。
なのに沢井さんは離れていった。
さっさと彼氏つくってさ。」
「え?」
「俺は何度も忘れようとしたよ。
今でもちゃんと忘れようとしてる。」
なにそれ。嘘でしょ…。
なんだかだんだん居心地が悪くなるし顔が熱くなってくる…。
「沢井さんが彼氏と幸せだっていうから、それでいいと思ったはずなのに。沢井さんの幸せを願ってたはずなのに。
諦めようとこれでも努力してんだよ俺だって。
だからもうこんな姿…、俺に見せんなよ。」
なんかそう言ってさっきから紺野君は私に怒ってるけど、なんだか告白されているようにしか聞こえない。
怒られてるのになぜか私は照れてる…。
「いないよ。彼氏なんていない。」
「え?」
怒ってた紺野君が拍子抜けしたような顔で気まずそうに顔を歪めた。
「もう、あの彼とはとっくに別れたの。もう随分前に。
それにね、あたしもそうだった。
紺野君がずっと好きだった。
忘れようと努力した。」
いつしか私は彼を言い諭すように見つめていた。こんな風に怒ってくれる目の前の彼がこんなにも愛おしいなんて。
「あの頃は寂しさに勝てなかったから。それで紺野君を諦めてほかの人と付き合ったのに、やっぱりどうしても紺野君が忘れられなかった。
紺野君と比べちゃって、他の人と本気になれなかったの。
だから私のなかにはずっと紺野君がいたの。
なのに、こうして再会した紺野君は女たらしだし、あたしにセフレにならないかなんて言ってきて。
あたしがどれだけ傷ついたと思う?
今でも本気でまだ好きなのに。」
言葉は紺野君を責めているような言い方だけど、気持ちはなぜかちっとも責める気はない。
私も負けないくらい、今初めて多分、紺野君に愛の告白をしている…。
「沢井さん…」
紺野君の眉毛が下がって今にも泣きそうな顔で笑いかけてきた。
ホッとしたようなその眼差しが私を捕らえ離さない。
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