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「俺たち、もう一度、やりなおせないかな…?」
その言葉を多分、私はずっと待っていた…。
「俺じゃ、だめかな。
また、俺じゃだめかな。」
「セフレじゃなくて?」
涙が溢れだす。
口の周りの筋肉が怖いくらいにワナワナと震えてる。
言葉が言葉にならない…。
「違うよ。ちゃんと付き合おう?
もう一度俺たち。」
もう、限界だった。
堪えていた声が洩れだす。
涙が止まらないのに、その顔には笑顔が浮かんでる。
今まで私の心の中に無理矢理閉じ込めていた想いが溢れ返るように声になって体の外に溢れだした。もうそれを止めることはできない。
「ウゥ…、ングッ…、ウゥ…」
泣き声にならない変な声を出した。
「それ本気?」
また涙が溢れ出す。
「本気だよ…。」
紺野君の、ため息みたいな優しい声が私の耳を擽る。
「本気の大好きで…いいの?」
子供みたいにしゃくりあげる甘えた私の声。
「俺も大好きだから…、多分ずっと」
あー、もうダメ。
やっぱりこんなにも大好きだった…。
俯く私をまた優しく照らしてくれるお日様みたいな紺野君の笑顔と向き合うと、もう私は気持ちを抑えられない。
今すぐ私を抱き締めて欲しい。
きっといま私、物欲しそうな顔をしてる…
「…私もずっと大好き」
「やっとちゃんと言ってくれたね。その言葉…」
今こうして目の前にいる紺野君が、凄くキラキラして眩しく見えた。
ずっと昔に憧れたあの頃の紺野君みたいにキラキラの瞳で優しくこっちを見下ろしてくる。
そっと近づいて私の背中に愛おしいその腕が回る。
どうやらその手をさっきからずっと待っていたみたい。そのあたたかさにホッとしてる私がいる。
その唇が近づいてきたら、多分私はそれをもう二度とよけない。
待ちわびている私の唇が、さっきから近づいて来てくれるのをずっと静かに待っている。
私の心の中でこの瞬間を待ちわびていた想いが今にも溢れだしそう。
私の飢えた唇が、はしたなく今にも彼に飛び付きそうになるのをなんとか堪えてる。
今すぐ彼を押し倒して彼のその唇に貪ぶりつきたいのを今なんとかやっと堪えて立っている…。
もう、あの頃みたいに俯くばかりの純粋で穢れないピュアな女の子なんかじゃないの。
いま私の頭の中は、はしたない事で頭がいっぱいだし、私のこの身体は自分が思う以上に欲深い。
私のこの身体が、彼の一途な愛の熱を求めてる…。
彼が私の事をずっと同じように思っていてくれたなんて。
ずっと忘れられなかったなんて。
こうしてお互いにすれ違いながら、私たちはずっとお互い好き同士だったなんて…。
すれ違いの勿忘草。
ずっと忘れていた実家の庭のほったらかしの向日葵の横に、そっと置かれていた鉢植えは
___白い勿忘草。
『真実の愛、私を忘れないで…
今でもあなたを…
愛してる……。』
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