綴った思い出

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ある日の下校中。 風花の心は荒れていた。 それはクラスメイトの言葉を聞いたからだった。 『鈴木さんってさ……ちょっと怖いよね』 『うん。私たちのことバカって思ってるのかな………』 『やっぱり優等生だからね』 なんだかすごく悲しくなった風花は、通学路を()れ、違う道を歩く。 なんでも良いから気を紛らわすものが欲しかった。 そんな風花が足を止めたのは図書館でも、家でも、文具屋でもない。 あるカフェだった。 風花はそのカフェの外装に惹かれたのだ。 その中に入ると優しい雰囲気が風花を包み込む。 そのカフェは灰原家が経営しているもので、灰原家の娘さんたちは風花の話を親身になって聞いてくれた。 長女の美紅(みく)。 長男の柊都(しゅうと)。 次女の七海(ななみ)美紅(みく)は風花にとって姉のようだった。嬉しいことも悲しいこともいつも真面目に聞いてくれた。 中学生の言うことなんかそう大したものでもないのに関わらず。 柊都(しゅうと)は兄のようで弟のようだった。そのどちらにも見えないこともあった。 優しくて頼りになるのに、やっぱりあどけなさがあって、たまに言い合いもした。 七海(ななみ)は本当の妹のようだった。末っ子だからかそこそこのかまってちゃんで、風花がお店に行くと後ろにくっ付いてきて色んな話をしてくれた。そしてそれは風花を頼っているようにも見えた。
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