6、助けてくれアシュリー!

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6、助けてくれアシュリー!

 事件の後日。    断頭台に罪人が連れていかれる。  高位の貴族や王族が見守る中で処刑されるのは、貴族の身分をはく奪された男。  第二王子派に所属していて、第二王子のために第一王子を暗殺しようと暗殺者を雇って実行させた犯人。  その男は、なんとレイファンだった。 「いやだぁぁっ! 死にたくないぃぃ!!」  情けない泣き声をこぼし、レイファンは運命に震えていた。   「高貴な貴族の名に傷をつけるとは」 「嫌ですわ、恐ろしい」 「貴族の面汚しめ」  貴族たちが顔をしかめて、ささやきを交わしている。   「貴族の血を冒涜(ぼうとく)し、名誉を傷つけた愚か者よ。王族に対する暗殺未遂の罪は、断じて許されぬ」 「歴史ある貴族の家門にとって、お前のような罪人は許容(きょよう)できぬ存在だ。貴族の名誉を守るために、お前の処刑は公開されるのだ」    断頭台にレイファンが連れて行かれる。  その瞳が、私を見た。 「助けてくれアシュリー!! 魔法でさ! お前ならできるよな、お前は俺の事、好きだろ!? この前は悪かったよ、他の女たちは全員もう縁を切ったよぉ! 俺を助けてくれよお!」  思わず顔を歪めてしまいそうになりながら視線を逸らすと、ウィリアム殿下がすぐ(そば)にいた。   「聞くに()えないな。言葉を返す価値もない……どうして好き勝手しゃべらせるんだ? 見苦しいぞ、黙らせるように」    ウィリアム殿下は不快そうに言って臣下に命じ、レイファンを黙らせた。  やがて刑が執行され、レイファンは二度と言葉を発することがない存在になり果てた。 「我が息子たちが王位をめぐって争うのは哀しい出来事だ。第二王子よ、今回の件についてどう思うか」  国王がゆっくりと問いかけると、第二王子は殊勝(しゅしょう)な顔をした。  ここで返答を間違えれば、第二王子の首も飛ぶのではないか。  そんな緊張が場を支配する。 「遺憾(いかん)の限りでございます、父上、兄上」  第二王子は「野心なんてありません」という顔で全員を見渡した。 「僕の派閥の貴族が暴走し、過激なことをいたしました。派閥貴族の暴走は、僕の責任です。申し訳ありません」  第二王子はそう言って、貴族たちに宣言した。 「今後このような事件が起きないように、臣下にはこの場で宣言します。僕は兄上を敬愛しています。将来、兄上をお支えするつもりです」  兄王子と弟王子が握手を交わすと、貴族たちは王室への敬意をこめた礼をして、拍手を贈る。 「ならばよし、将来は兄弟仲良く国を治めるように」  国王は父の顔で微笑んだ。そして。 「次期国王、王太子にウィリアムが決まったことを今日、この場で(おおやけ)にする」  と、発表したのだった。
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