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施設を出た。 就職なんて、決まっていない。だけど、高校も行かない。手切れ金のような、卒業祝いの金だけ持って上京する。 「お前、仕事探しに旅してるのか」 「そうです」 行き先途中の宿泊地は、公園。ホームレスがいるところに行く。全然知らない土地だし、聞いたほうが早いと思ったから。 「なかなか冒険するやつだ」 「どっち行ったら都会になりますか?」 「あっちだな。徒歩で行こうなんて考えるやつは珍しいな」 「金ないから。飯代で消える」 「そりゃ難儀だな。炊き出しは明日あるが、どうする?」 「急いでるから、もらえない。それに通報されそうだし」 「確かにな」 早く、仕事探したい。早く、稼ぎたい。 そしたら、俺は飯に苦労しなくて済む。 ベンチで寝て、翌朝出発。飯は、スーパーで買わないといけないけどまだ開いてない。だから、ホームレスのおじさんにもらった、いつのかわからないお菓子を食べる。うーん、せんべいってこんな柔らかいんだろうか? わからない。
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