幸せの青い鳥

13/14

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
 ぴーちゃんは、窓柵にとまっていた。窓を開けたら、桜の花びらと一緒に入ってきて、遥香の肩にとまって離れなかった。  看護師や三枝医師もぴーちゃんだとわかったが、最初に遥香が 「ぴーちゃん、また迷子になったの?」  と話しかけたから驚いた。  ぴーちゃんをきっかけに記憶が戻るかもと、スマホをチェックしたら、ぴーちゃんの写真や動画がないことに気付き復元していた。  真也はまだ相談室でボンヤリしていた。今は美希を愛してない。結婚したいと思っていたのに。自分のいい加減さに、絶望していた。 「最低だな」  重い足取りで、ぴーちゃんを迎えに遥香の病室に入った。 「谷本さんが、ぴーちゃんを助けて下さったのですね。ありがとうございます」  真也は深々と頭を下げた。 「私じゃないです」  真也は驚いて顔をあげた。 「親友なんですよ。ぴーちゃんを警察まで連れて行ってくれて、それに、わざわざ車を出してくれたんです。えーと。ダメですね名前が出てこない」  恥ずかしそうに微笑む遥香が眩しくて、真也はまた、うつむいてしまった。  ピッピッピッピっ、ぴーちゃんが真也の肩で忙しく鳴いている。 「あのぉ、ゆっくりでいいと思います。僕も……そばにいますから」  キョトンとした遥香の顔を見て 「いや、あの、変な意味はないです。今のはぴーちゃんが言ったので」  肩に乗っているぴーちゃんが、またピピッピピッと鳴いた。 「ねっ」  遥香は、頬をぷくっと膨らませて、楽しげに笑った。  
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加