幸せの青い鳥

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「美希ちゃん、ありがとう」  佐倉マネージャーは、病院のロビーで待っていた。 「遥香はどうですか」 「奇跡的に軽傷だったんだよ。まだ意識は戻ってないんだけど、検査で異常もなかったから、時間経過で目覚めるだろうって」 「そうですか」 「信号無視の車だったから、一歩間違えたら命も危なかったよ。ホント腹立つ」  美希は目を逸らした。後ろめたさかもしれない。 「ご両親は月曜日に来られるから、ホント軽傷で良かったよ」  遥香は化粧品会社。美希は派遣銀行員。  美希は浪費しすぎ、遥香は実家への仕送りを増やしたい。そんな理由からホテルのラウンジで、時給が良いナイトスタッフとして月6日ほど働いていた。  遥香の実家は大阪。夫婦で居酒屋を営んでいる。軽傷なので両親は少し安心したのだろう。  両親がすぐに来れないので、美希が遥香の入院保証人になった。遥香のバッグを入れた貴重品ボックスの鍵を保証人になったので預かった。  佐倉マネージャーはホテルへ戻っていた。少しだけでも、顔が見たいとお願いして、特別に病室に入れてもらえた。遥香はスヤスヤと点滴を受けながら眠っている。  ベッドサイドの貴重品ボックスをあけて、バッグからスマホを手にした。遥香の手をとり指紋ロック解除して、ある写真と動画を削除した。
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