幸せの青い鳥

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 真也は高級外車で迎えに来ていた。 「すごい車、素敵ですね」 「僕のじゃないです。情けないですが」 「そんなことないです」  そういえば、真也さんのお父様は何をされてる?会社を経営だったかな。 「あの、美希さん」 「はい」 「僕の家に来てもらえませんか」 「えっ」 「急ですが、嫌ですよね」 「行きたいです。真也さんのお家」  真也は嬉しそうに、歌を口ずさみながらハンドルを切った。  想像はしていたけど、すごいお家。電動シャッターが開くと。3台外車が停まっていた。  車庫からドアを開けると美しい芝生が広がっている。  美希は真也の手を握った。真也はハニカミながら、ぎゅっと握り返した。 「案内したいところがあるんです」  手を繋いで植物園のような温室の前についた。 「どうぞ」  亜熱帯地方の木々が鬱蒼(うっそう)と茂っている。 「南国みたい。あっ、きゃー」  ピピピ 「ぴーちゃん、だめだよ、大丈夫ですか」  ぴーちゃんは、美希の頭を突いて飛んでいった。 「嫌われたな。真也さんを取られたって」 「そんなことないよ。ぴーちゃんが美希さんに会わせてくれたんだから」  また、ぴーちゃんが美希の頭を突いて、耳を噛んだ。 「痛い、やめてよ!真也さん出るわ」  逃げる美希を執拗に追うぴーちゃんは、ドアが開いた瞬間、空へ飛んでいってしまった。 「ぴーちゃん!」  真也も外に出て、芝生を走って追いかけたが、ぴーちゃんは見えなくなった。 「真也さん、ごめんなさい。私のせいで」  美希は真也の胸に抱きついて、泣きじゃくってみた。 「ぴーちゃんを探してくる」  美希の腕をほどいて、真也は庭の隅まで走って行った。 「何よ、もう」  美希は庭のベンチに腰をかけてスマホをいじっていた。  真也が走って来たのが見えたので、慌ててスマホをバッグにしまった。 「ぴーちゃん見つかったって、行こう」  真也は駐車場へ向かって走り出した。 「もー最悪、先に行かないでよ」    
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