自覚~沢島side2

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「そうか、良かったな。自分らしくいられる相手が一番だ。じゃあ、俺は帰るよ。猛烈にケーキが作りたくなってきた。材料をあちこち回って買って帰りたいからな」 「……何なのよ、急に。ふふふ。でも良かった。もう大丈夫ね」 「ああ、有紀。幸せになれよ」 「あなたもね」  俺は決めた。すみれにきちんと告白する。  おととい、ケーキを作れるようになったと上司に報告した瞬間、元の部署に戻ってくれと言われた。  篠田課長と専務がうまくいっていない。そのせいで新しい商品も生まれていない。  ある意味うちの会社の危機だ。売上も落ちていて、入社希望の新人が少ない。  俺がこの会社に残ったのは、今このときのためだったのかもしれない。向こうでやるべきことはわかっている。  それには……すみれといることで俺は俺らしくいられるとわかったんだ。彼女の笑顔が俺にやる気をくれる。  さあ、早く帰ってあのパウンドケーキを作るぞ。アイツの大好きなあのケーキを生み出したのは実は俺だったと教えてやろう。
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