恋の勝負ケーキ

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 課長は立ち上がり、水を冷蔵庫へ取りに行った。 「俺が考えて、試作などは同僚も手伝った」  そうか……つまり課長が考え出して、有紀さんと一緒に作ったんだ。  それでイチジクのケーキとよく似ていたんだ。わかった。 「……き、昨日の夜はいつ帰ってきたんです?私寝てしまっていて」 「そうだな、帰ってきたのは十時過ぎていたな。それからシャワーを浴びて、食事して、これを作り出したんだ」 「午後外出されましたよね?どこへ行ったんです?」 「そんなことより……田崎すみれ」 「……はい」 「お前にこの俺の作ったケーキをやる。俺の気持ちだ……お前が好きだ。俺と付き合ってくれないか」  私は驚いて立ち上がってこちらに来る課長をじっと見た。どういうことなの?元カノはどうしたの? 「……おい、どうして何も言わないんだ。今はしらふだぞ。だからもう一度キチンと告白してるだろ?」 「……あ、えっと。ありがとうございます。ちょっと聞いていいですか?」 「は?お前本当に変わった奴だな。想像とは違う展開だ」 「面倒だからハッキリ聞きます。昨日誰と会ってたんですか?」
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