恋の勝負ケーキ

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「好き?そんな訳あるか。メールも、電話も全て無視されてきたんだぞ。その文句も言いたかったし、色々聞きたいことがあったんだ。辞めた当時のこととかな。結婚するっていう奴に未練なんかあるかよ」  そうとは思えない。あの寝言。ちろりと課長の顔を見た。 「……」 「なんだよ、その目。疑ってるのか?」 「課長、おととい寝言を言ってました」 「は?お前、俺の部屋へ夜這いに来たのか?」  そんな訳あるかー! 「だから、熱があるのか心配だったの!様子を見に行ったら……有紀さんの名前をつぶやいてた」  課長は真っ赤になっている。やっぱりね。 「最近あいつの夢を見ていなかったんだ。でもおととい久しぶりにあいつが出てきて、俺にタバスコ入りの試食ケーキを食わせようとしていたんだ。あいつ、しょっちゅう俺の苦手なタバスコを入れたクッキーとか食わせて嫌がらせしていたんだ。それが夢に出てきて……」 「……まさか、それで『有紀、やめろよ』って言ったの?」 「そう言ってたのか?そうだ、いつもどっちがいいって聞くんだ?でもどっちもタバスコ入りなんだ。だからやめろって言うんだが最後には食わされる」
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