兄の襲撃

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兄の襲撃

 課長と恋人になって、ようやく前のアパートから引っ越すための準備を始めた。  会社の人には部内恋愛だし、知られるとまずいので、とにかく前みたいに絡まないで下さいとお願いした。  課長と話すとドキドキして、絶対前と違う顔になっている自覚がある。あまり話しかけいじられると、いつかバレてしまう。 「それはどうだろう?」  誠司さんはうーむと腕を組んでいる。 「どうだろうじゃなくて、とにかく普通の上司と部下になりましょう。私をいじるのやめてください」 「……お前をいじらないと具合悪いんじゃないかと聞かれたと言ってたじゃないか」 「そ、それは……」 「もはや、お前とのやりとりは俺の健康のバロメーターになっているということだろ?やらないとみんなに心配されるんじゃないのか?」 「そんな訳ありません。誠司さんが普通に元気にしていれば問題ありませんし、みんないつか忘れていきます」 「……多分、お前をいじれないと俺は本当に病気になるだろうな」  ちろりとこちらを見る。 「そんなことないですってば。家でいじってるでしょ?」  彼はニヤリと笑う。
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