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「僕に感謝していただろ。たっぷり恩返ししてもらうとするかな。僕に恥をかかせないよう、しっかり頼むよ。そうじゃないと、僕がみんなから怒られるからね」
そう言って、ひらひらと手を振っていなくなった。何なのよ、それ?お笑い担当ってなに?馬鹿にしてるの?
「田崎さん、これからよろしく」
振り向くと、スーツ姿の同期の男性。名札を見ると、ほう、君が武田君か……。なんかすごい体格のいい人。
「あ、こちらこそよろしくお願いします。田崎です」
身体の大きい割に彼は恥ずかしそうにしている。
「いや、そんな同期なのに丁寧に挨拶されてもね。ため口でいいよ」
「あ、そう、そうだよね。ごめん。えっと、武田君は総務とか希望していたの?」
「いや、そんなわけないだろ。営業希望だよ。どうしてここになったんだろう、謎だよ。君は?希望してたの?」
「……私は全然。全く考えてもいなかったし、すごくショック。店の方が良かった」
「店?ああ、まあそういう人もいるけど、本社配属なんだからこういう部署もたくさんあるよ」
「でも、人事部ってどういうことやるのかな?」
「いや、仕事はきっと色々あるんじゃない?ま、よくわかんないけどさ。これからよろしく」
「うん」
とりあえず、同じ部の同期が気さくな人でよかった。少し安心した。
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