兄の襲撃

4/20
前へ
/236ページ
次へ
「それって……清水さんが綺麗って言うんだから相当綺麗なんだね」 「え?あ、どういう意味?」  顔で生きてきたって言ってた清水さんが言うんだよ。清水さんが認めるっていうことは、つまり相当美人って事でしょ?まあ、いいや。それで誠司さんは午前中いなかったのか。 「今度一度ゆっくり食事でも行こうよ」 「そうだね」  そう言って、別れた。  午後から、フロアで頼まれた入力をこなしていると、話しかけられた。 「田崎さん、本当に成長したわね。さすが二年目だけのことはある」  伏見さんが隣の列からこちらを見て笑っている。 「ええ。おかげさまにて成長しました。でもそれも多分、桜井さんのお陰です」  桜井さんがにっこりと隣で笑う。 「そう?これのこと?」  桜井さんが団扇を見せた。推しを応援するときに使う団扇。  そこにはキラキラモールが団扇のカーブに沿って囲ってある。真ん中には『確認した?』という文字が書かれている。  そう、つまり私のための団扇。桜井さんは私の仕事を見ていてやばいなと思うとき、心配そうにそれを私に掲げるというわけ。
/236ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1324人が本棚に入れています
本棚に追加