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もしかして、午前中お母さんが来ていたからかしら？誰にも話さないでねと言われたから黙っているけど、家に帰ったら聞いてみよう。
今日はやっと金曜日。
明日、アパートの管理人さんに挨拶へ行こうと思っていて、うちの会社のパウンドケーキを下の店で包んでもらってきた。
そういえば、この間の誠司さんの焼いてくれたケーキはめちゃくちゃ美味しかった。
焼きたても美味しかったけど、二日目の美味しさは驚き。愛があるからな、とかキザなこと言ってたけど手作りってすごい。
私も誠司さんのご指導のお陰で、料理はそこそこ出来るようになってきたけど、ケーキやスイーツはできない。
そこはやっぱり彼の本業だと思うので、作ってもらって食べる専門になりますと宣言した。その時に見せてくれた誠司さんの嬉しそうな顔は忘れられない。
「すみれ」
その日の夜。ご飯を食べ終わったら彼から言われた。
「なんですか？」
「明日、アパートに挨拶へ行くって言う話、ひとりで退去日とか相談してきてもらっていいか？」
実は、引越の続きをやりつつ、挨拶しようと話していたところだったのだ。
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