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「こっちに出てくる用があったからさあ、お前のところをとりあえず見てこいって母ちゃんから言われて、最初に寄ったわけだよ。それがどうだ、カーテンは引いてあるし、鳴らしても出てこないし。どういうことだ?」
「……ちょ、ちょっと出かけてたの。お兄ちゃん、出来れば先に用を済ませてから来てくれない?」
「今どこにいる?」
「か、買い物中。だから、急に帰れないし、そうしてもらえると助かる」
「せっかくお前に昼飯美味いの作ってやろうと思って材料も持ってきたんだぞ、おい」
「そ、そんなこと言われても困るよ」
「いつ頃帰ってくる?」
「え?」
「だから、食材悪くなるとまずいだろ。すぐに冷蔵庫に入れたいんだよ」
「わかった、三十分以内に行く」
「なら、その辺で時間潰してるから着いたら連絡寄越せ」
「わかった。ごめんね、お兄ちゃん」
「ああ。早くしろよ」
「うん、じゃあね」
私は急いで着替えると、鞄をつかんで部屋を出た。携帯を確認したら、メールが夕べ来ていた。
その頃はすでに誠司さんと……だから気がつかなかった。朝も確認しなかった私が悪い。
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