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ガチャッと扉を開けるとお兄ちゃんが大きな保冷バッグを持って立っていた。ああ、これじゃあ、大変だったよね。
「お兄ちゃん、いらっしゃい。お待たせしました」
「……」
どうしたんだろう?私をじいっと見ている。
「な、何?どうしたの?」
「……すみれ」
「ん?」
「お前……なんか、綺麗になった。色気があるぞ。おい、お前まさか……」
うそ。そんなこと、会社でも言われたことなかったけど……相変わらず鋭くてお兄ちゃんは本当に苦手。
玄関に突っ立ったままのお兄ちゃんの荷物を奪い取った。
「……え?お兄ちゃんったら、着いた早々お世辞はいいから、さあ、あがって。何か作ってくれるの?」
靴を脱いだお兄ちゃんは、おじゃましますといいながら入ってきた。というか、入るほど広くないけど、部屋を見渡した。
「なんか……生活感がないな。お前、いつも汚くしてるのに、きれいじゃないか」
「そう?物をあまり買わないようにしているからかな、あはは」
それはそうでしょう。ほとんど必要品は誠司さんのところへありますので、ここには残り物しかない。
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