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「あ、うん。知り合いに上手な人がいてね、そこへお邪魔して教えてもらってるの」
「ふーん。その割には調味料もないようだが……すみれ、正直に言え。お前、どこに住んでるんだ?」
びっくりした。単刀直入にもほどがある。どうしてわかったんだろう。お兄ちゃんは私の慌てた顔を見て、大きなため息をついた。
「……ここに住んでるよ」
「すみれ。言いたくなかったが、お前この家の空気がおかしい。ずっと閉めっぱなしだっただろ?部屋もほこりがある。それに、お前ここに……」
お兄ちゃんが胸元を指さして言った。
「跡がついてる。鏡よく見てみろ。そんな襟ぐりの広い服着たら、すぐにわかる。男と住んでいるんだろ、お前」
「ええ!?嘘でしょ……」
私は真っ赤になったんだろう、お兄ちゃんが「はああ……」と大きなため息をついた。
私は急いで鏡の前に立ち、胸元を見ると赤い斑点が三つも見えた。急いで着替えて出てきたから髪の毛しか見てなかった。
あああ。ダメだ、これは。誠司さんの馬鹿。
その後。私はお兄ちゃんにコーヒーを入れて、とりあえず向き合った。
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