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「ふーん。上司がお前のこの家を心配して部屋を貸してくれた……そんな話信じてついて行ったのか?ホントに馬鹿な奴。最初から囲い込まれただけだろ?すみれはウブだから、やられたんだな」
その言い方はない。でも、概ね事実。さすがお兄ちゃん。
「でも、本当に恋人になったのは最近なの。ずっとタダの同居人だった」
「へえ?家を捜さないでそこにずっといたんだ?すみれがいたかったからか?もしかしてお前が付き合ってくれっていったのか?」
「……違うよ。実は料理を教えてもらっているの。彼は元々パティシエの勉強をしていた人で料理も一通りできるんだ」
「パティシエ?そうか、それでどうして人事部?おかしいだろ?」
「まあ、それには色々理由があってですね。でも、今でもケーキも作るし、あ、すごい美味しいんだよ」
「……お前、それでどうする気なんだ?」
「どうする気って?」
「あほか。どうしてここを解約してないんだ?」
「……だって。付き合うまでは違うところ捜していたし、夜帰るときに気をつけていれば、ここにまだ住むこと出来るかもしれないって思って」
お兄ちゃんが頭を抱えている。
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