突然の縁談~沢島side3

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 この間来たときもその話を聞いたのだが、今更俺に戻れとはどの口が言えるのかと言ったら、澄川を辞めさせた責任を取れと言われた。  俺を守るために彼女がやめたんだと、彼女が好きだった篠田は食ってかかってきた。  澄川は新商品開発の重要な柱だった。彼女がいなくなって開発課は空中分解しかけた。  しかも、もう一本の柱だった俺も抜けた。大変だったのは容易に想像がつく。  それを、課長に昇格した篠田がまとめてきたんだが、あいつは正直パティシエとしての実力が足りない。  さらに、口が悪くて周りを使うのも下手だから、結局専務と衝突した。  専務は俺を戻すために、実家の母を巻き込んだ。母は専務と知り合いだった。  実家の商品を別ブランドで売ることが出来れば、相当利益になる。  俺の開発課への復帰は断れる状態ではなかった。  それで、商品のことを相談にきてちょうだいと言われたが、嫌な予感がする。  店に着いてすぐに客間に案内されて、見れば座っているお嬢さんがいる。すみれよりは少し年上の落ち着いた感じの女性だ。
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