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「誠司。都さんは父さんの会社の常務のお嬢さんなのよ。都さん、これがうちの息子です」
父は砂糖を作る会社に勤めるサラリーマン。母とは仕事を通じて営業に来ていて知り合った。
「初めまして。木村都です」
「こちらこそ、沢島誠司です」
「あら、お似合いだわ。年齢も三つ違い。ぴったんこよ」
「母さん、これはどういうこと?」
俺の顔色をものともせず、笑顔で答えた。
「都さんはとても仕事も出来るそうよ。あの人から聞いているの。お前のお相手にどうだろうって都さんのお父様からお話しを頂いて、あの人も都さんならっていうことでね」
「……あ、あの。沢島さんは急にこの話を聞かれたんですね。すみません」
彼女は綺麗に頭を下げてくれた。
「いや、木村さんのせいじゃありませんよ。母が悪いんです。気にしないで下さい。ただ……」
「……誠司。お返事はきちんと二人でお話ししてからにしてちょうだい。今日はわざわざ来て下さったんですからね」
そう言うと、うちの菓子とお茶を出して母は消えた。
「強引な両親ですみません。ご迷惑だったんじゃないですか?」
俺は木村さんに頭を下げた。
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