不思議な再会~沢島side1

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 彼女はシフトが上がる時間になると、よく買いに来ていた。俺は家が近いのもあって、店の状況を把握するため顔を出すことがあった。いつも彼女はショウケースを嬉しそうにニヤニヤしながら眺めている。  その顔が面白いのだ。店員が彼女は常連だと教えてくれた。そして、いつも何かいいことが会った時、必ず買いに来るみたいですと教えてくれたのだ。  あの日……。俺が助けた日も彼女は来た。そして嬉しそうにショウケースをニヤニヤと眺め、いつもと同じケーキを買って帰っていった。でもレジの前で必ず綺麗な微笑みを見せる。えくぼが見えるその笑顔を見るのが好きで、今日はその笑顔を作る手伝いをしたと嬉しかったのを覚えている。 「え?田崎さんがいいんですか?どうして、また……もしかして面接の時のはなしで?」  人事担当の須田が俺の顔を見ながら言った。 「ああ、彼女は面白い。近くにいたら退屈しなさそうだ」  須田が呆れた顔をして見ている。
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