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「母さんこそ、俺へ何故事前に聞かない?俺にだってプライベートくらいある」
母さんははっとしたように口元に手を当てた。
「まさか、そういう人がいるの?」
俺はがっくりと肩を落とした。
「まさかって、どうしていないという前提なんだよ……」
「だ、だって。あの前のパティシエの同級生と別れてから様子が変だったし、立ち直っていないのかと思っていたから。ずうっと相手なんていなかったわよね……」
「あれから大分経つだろ」
「だって、あなたあのときの様子ときたら、自分でわかってないでしょ?私本当に心配だったのよ」
「ああ、確かにそうだったかもしれない。心配かけたな。もう大丈夫だ」
「……じゃあ、そのお相手はどこに?」
「今の部下だ。彼女に訳があって部屋を貸したんだ。恋人関係になってまだ一ヶ月くらいだ」
「何だ。まだ、そんな最近なのね?それで、何、もう結婚する気なの?」
「まあ、俺はそのつもり。彼女以外いらないね」
「やだ、誠司。キザなのね。びっくりだわ」
母さんは顔を赤くして口元を押さえて俺をじっと見てる。何なんだよ、やめてくれ。
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