突然の縁談~沢島side3

6/14
前へ
/236ページ
次へ
「母さんこそ、俺へ何故事前に聞かない?俺にだってプライベートくらいある」  母さんははっとしたように口元に手を当てた。 「まさか、そういう人がいるの?」  俺はがっくりと肩を落とした。 「まさかって、どうしていないという前提なんだよ……」 「だ、だって。あの前のパティシエの同級生と別れてから様子が変だったし、立ち直っていないのかと思っていたから。ずうっと相手なんていなかったわよね……」 「あれから大分経つだろ」 「だって、あなたあのときの様子ときたら、自分でわかってないでしょ?私本当に心配だったのよ」 「ああ、確かにそうだったかもしれない。心配かけたな。もう大丈夫だ」 「……じゃあ、そのお相手はどこに?」 「今の部下だ。彼女に訳があって部屋を貸したんだ。恋人関係になってまだ一ヶ月くらいだ」 「何だ。まだ、そんな最近なのね?それで、何、もう結婚する気なの?」 「まあ、俺はそのつもり。彼女以外いらないね」 「やだ、誠司。キザなのね。びっくりだわ」  母さんは顔を赤くして口元を押さえて俺をじっと見てる。何なんだよ、やめてくれ。
/236ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1324人が本棚に入れています
本棚に追加