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「せっかく本社へ行ったのに、だったら会わせてくれたら良かった」
「何を言ってるんだよ。大体、そんな話一切しないで、菓子の相談で俺を呼び出しておいて、これはないだろ?」
「まあ、そうね。でもそうとでも言わないとあなた帰ってこないもの……」
まあ、確かにそうだな。
「わかりました。じゃあ、とりあえず出品の商品リストですけど、こんな感じでどうかしら?」
さすが母さん。手際がいい。俺はリストにある十品目を見て、言った。
「とりあえず、預からせてくれ。開発課へ戻ってから色々確認して、それから検討するよ」
「ねえ、誠司」
「ん?」
「パティシエに戻る覚悟あるの?うちのことで無理矢理なら断っていいのよ」
お見通しだったか。
「ああ。そうだな、嫌ならとっくに相談してたよ」
「そうなのね。じゃあ、いいのね?」
「もちろん、出来るかどうかはわからない。ブランクもあるし、家で作ってはいたがその程度でやれるかわからん。これからやってみて考えるよ。出来なければ管理職として生きるだけだな」
「誠司は才能あると思うわよ。お前の作るものはやはり血を感じるときがある」
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