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「しげさんは相変わらずですね。ふふっ」
「うっわ。可愛くなったな。親父さん見たらこれは心配するでしょ。すぐに見合い話になりそうですね」
やっぱりまだ有効なの、その話。がっかり。
「しげさん、賄いって残ってる?」
「えーっと、そうですね、あ、少し作りますよ。せっかくすみれさん帰ってきたんだし……」
「それはまずいよ。お父さんに知られたら怒られる。食材は大事にがモットーでしょ」
「すみれ」
ふたりで低い声を聞いてビクッと身体を震わせた。
振り向くとお父さんが立っていた。うわ、なんかしわが増えた?
「……あ、お父さん、ただいま戻りました」
「ああ、本当に帰ってきたんだな。急だったな。まあ、いい。あとでな。しげ、すみれの分は俺が作るからいいぞ」
「「ええ!?」」
しげさんがびっくりしてる。そりゃそうだ。私の賄いなんて適当でいいといつも言ってた人がどういったこと?
「久しぶりだから、本物の料理を思い出させてやる。店の方で待ってろ。出来た分から運ばせる」
「……うん。ありがとう。楽しみ、久しぶりのお父さんの料理」
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