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「帰ってるわよ。居間にお父さんといる」
私は借りてきた猫のように小さくなって大きなつげのテーブルの隅っこに座っていた。
お父さんは正面のど真ん中にいつもの定位置にどっかり座って私の事なんて知らぬフリ。だって、何を言いに来たかわかっているんだと思う。
「お父さん、帰りました」
「ああ、おかえり。そこに座れ。夕飯は?」
「食べてないよ。久しぶりに母ちゃんの作ったものが食べたい」
「珍しいことを言うな」
すると、お母さんが入ってきた。
「失礼ね。珍しくなんかないわよ。勝俊はあなたと違って私が作ったものに文句いったりしませんからね」
「……」
「すみれ、ちょっと手伝って」
お母さんはお兄ちゃんにもおつまみとビールを置いて、私をつれて下がった。
すごい、唐揚げがある。それに、キノコのカレー?美味しそう。お母さんは基本的に洋食を作る。
「とりあえず、冷蔵庫にサラダもあるから、それとご飯を持っていって。おすいものも残りがあるから食べる?」
「うん、食べる」
「じゃあ、運んで。四人で食べながら話しましょう」
「うん」
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