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その点、田崎は大丈夫そうだ。何しろ、コンビニは苦情や突っかかってくるよくわからん客が多い。それをいつも知らんふりしていたあの店長に頼らず、自分でこなしてきたんだから彼女に根性があることだけはわかる。
それに、俺にとっても彼女のような天然の面白い奴は気分転換にとてもいい。ここの仕事は社内の人間相手だ。センシティブな内容や給料に関係する査定など神経を使う仕事が多くて疲れる。
彼女を実は前から知っていたことは誰にも話していない。ケーキをうちの店へ買いに来る度見せてくれたニヤニヤ顔を思い出して笑ってしまう。あの明るさとどこか天然な物言いは強烈だ。
本人は至って真面目に話しているのだが、妙にずれていて面白い。疲れた時は彼女と話せば回復できそうだ。まあ、確かに須田の言うとおり、問題は仕事がキチンと出来るかだ。
先にフロアへ戻り、田崎を指導する桜井に声を掛けた。彼女は今年三年目になる。人事の仕事を主にさせている。つまり、田崎も人事関係の仕事をさせる予定だ。武田は総務を主体にさせる。
「はい、なんですか課長?」
「田崎さんを須田が連れてくる。しっかり指導してくれ」
「了解です」
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