すみれの実家

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「すみれー、ちょっときなさい!」  大きな声がする。私はびっくりして立ち上がって玄関を覗いた。 「すみれ。来ちゃったよ」 「……は?ええ!?仕事は?」 「ああ、三時頃直帰すると言って出てきた。すみません、突然伺って……宿は予約してますので、ご心配なく。あ、これはうちの菓子です。良かったらどうぞ」 「あ、お気遣いすみません。どうぞ、どうぞ、お上がり下さい。ちょうどいいところにいらっしゃいました。あなたの恋人は今窮地に陥っていましたよ。で、えっと、お名前は?」 「あ、すみません。沢島誠司と申します。よろしくお願いします」  私は彼の鞄を受け取って、スリッパを出した。 「沢島さん。娘がお世話になってありがとうございます。とても格好いいわ。良かったわね、すみれ」 「「は?え?」」  お母さんがにこにこして先に歩いて行く。イケメンに弱いのよね、相変わらず。お客様もイケメンが来るとにこにこしているし。 「ちょっと、誠司さん、連絡して下さいよ」 「……三時過ぎにしたよ。お前また、メール見てないだろ。まあ、いい。窮地だったんだろ?さすが俺だな。そんなことじゃないかと思ったんだ」
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