1324人が本棚に入れています
本棚に追加
「ま、それだけじゃないよな、沢島さん。男から見たら連れ込みだぞ。うちのすみれはウブだっただろ?」
「お兄ちゃんまでそんな言い方やめて。助けてもらったの。もちろん、私は課長が苦手なら絶対行かない。実はアルバイト時代、課長がコンビニに来て、お客さんに絡まれていた私を助けてくれたのが最初の出会いなの」
「まあ、本当なの、それ?」
お母さんが驚いた。
「そう。で、偶然面接でその話をしたら面接官が課長で。ビックリしたよね」
「はい、私も驚きました。彼女がエピソードとしてその話を面接で出して、つい名乗り出てしてしまいました。他の面接官も笑ってました」
「まあ、運命的ねー、いいわね、あなた」
「……」
何も言わない渋ヅラのお父さん。お兄ちゃんが何か言えと目配せした。私は意を決して話した。
「だからね……お父さん、あの縁談はお断りさせてください」
「私も彼女とは結婚前提でお付き合いさせて頂いています。よろしくお願いします」
ふたりでお父さんの前で頭を下げた。まるで結婚の挨拶みたいになっちゃったよ。
「まあ、わかった。失礼だが、沢島さんはおいくつかな?」
最初のコメントを投稿しよう!