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「今年三十四になります」
「すみれは確か……」
「十歳下です」
「ふーん。まあ、すみれは頼りないから年上も悪くないが結構離れているな」
「あなた、私達はいくつ離れているか知ってます?」
「むうう……」
「沢島さん、母さん達はひとまわり離れてるんだよ。何も言えないから安心しろや」
「そうですか……」
「そうだ、すみれから聞いたが、あなたはパティシエだとか?どうして人事にいるんだ?」
「それはですね、最初は商品開発のほうへいまして、ちょっと色々あってこちらへ。ただ、来月から戻ることになりましたので、また白衣を着ることになりそうです」
「ん?パティシエと言ったのか?」
お父さんが驚いた顔をして彼を見た。
「はい。製菓学校出身なんです。実は母の実家も洋菓子店でして、父は砂糖会社のサラリーマンをしています」
「あらまあ。そうだったの。お父さん、良かったわね。同じ畑ではないけど、全く違う畑じゃないからあちらにも説明しやすいし、ありがたいわ」
「それですみれに料理を教えていたのか?」
父さんが誠司さんに言った。
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