すみれの実家

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「そうなの、お父さん。誠司さんはお料理も上手よ。もちろん、菓子作りはプロだからめちゃくちゃ美味しい。一度作ってもらった方がいいよ」 「……すみれ、やめてくれ。おふたりは完璧なプロだ。俺とは全然違う」 「いや、それは興味があるなあ。一緒に是非何か作ろう。いつかコラボできたらいいよな」  お兄ちゃんが茶目っ気のある微笑みでこちらを見てる。誠司さんは笑ってごまかした。 「とりあえず、わかった。すみれ、お前の気持ちは俺の方から御曹司へ伝えておく。ただし、御曹司がお前を高校時代から実は気に入っていたそうで、あっちが乗り気なんだ。一応伝えるが、ダメならまた話がくるかもしれんぞ」 「それなら、私が最初からお断りした方がいいんじゃないですか?」 「いや、お前に会わせると却って面倒なことになりそうだ。ここは一旦俺に任せろ。あちらの父親である支配人にも話がある」  やっぱり何か条件の話があるんだろうとその時直感した。でもわかってもらえて良かった。  同棲の話をしようとしたら、お父さんが先に部屋を出てしまって、戻ってこなかった。突然課長が来てしまい、ショックだったのかな。
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