1324人が本棚に入れています
本棚に追加
私の頭の中は急激に?マークが押し寄せた。こんな人知り合いにいた?まさか、バイトの人?違う、大学?すごい勢いで頭の中で顔認証が始まった。いないじゃない。誰?
「中央高校の図書委員で一緒だったろ?長野ホテルの坂田だよ。縁談の話聞いてるだろ?」
「え?まさか……」
「そうだよ。思い出した?」
彼はメガネを取った。あ、そう言われてみればそうかもしれない。坂田先輩。ホテルの御曹司の……ってええ?縁談断ったんだよね、お父さん。どうして?
「ちょ、ちょっと待って下さい、そっちに行きますから……」
「いや、部屋で話をしようよ」
「えっとですね、この部屋はすでに何もないんです。引越準備中で……今、そっちに行きますから待っていて下さい」
私はそう言うと、急いで窓を閉めて、鞄を持つと外へ出た。坂田先輩はアパートの前に立っていた。何故スーツ?ああ一応御曹司だから?まあ、いいや。少し太ったというのは本当だった。メガネも掛けていて誰だかこれじゃわからないよ。
私は、Tシャツにジーンズという、すごい軽装。今日はただひたすら、部屋の片付けのために来たから、すごい不釣り合いな私達。
最初のコメントを投稿しよう!