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桜井は真面目であまり冗談も言わない。ただ、仕事はできる。正直言って、田崎とは性格が真逆かもしれないが、うまくいくことを祈るしかない。
フロアへ降りてきた須田と新人ふたりは緊張の面持ちだ。
他の部と違い、ここは採用も担当する人事だ。彼らのことはすでに情報が履歴書以上のものが共有されている。つまり、面接内容についてだ。だから、ある程度の予備知識はある。
ただ、それは迎える方だけで、彼らは面接や採用セミナーで見た人しか知らない。ふたりは須田に言われて皆の前で自己紹介を始めた。
「みなさん、仲良くやっていきましょう」
須田が座っている社員達に言うと、皆が拍手で迎えた。
俺は会議なので、夕方まで戻らなかった。帰ってきた頃、新人二人の様子が心配になって見に来た。すると、武田は須田に頼まれて備品を運ばされていた。須田はたくさんの備品運びを武田が来るのを待ってやらずにいた。だから、これは想定内。
「武田君、大丈夫か?」
すると彼はにこにこしている。やはり頭より身体を使う方が得意だったのか。それはそれで心配だ。
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