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「なるほど……それは悪くないかもしれないな。夏はどうしても本店まで歩いてくるのが大変で客も減る。夏は駅前のホテルのほうが行きやすいし、夏休みの家族連れもいるだろう。客層が変わるかもしれない」
「そうですよ。考えてみてもいいかもしれません。うちの菓子も一緒に売りましょうか?都内の店ですし、話題にはなるでしょう。あっちがいいならですけどね」
「……沢島君!」
「ええ!?そんなことできるんですか?」
私は驚いて誠司さんを見つめた。
「ああ、実は内示が正式に出た。俺は商品開発課長になる。新しい商品を作って販路を増やしたいと思っているんだ。うちは洋菓子メーカーだが、和菓子を少し始めた方が客の年齢層があがってきているのでいいと思ってね」
「さすが課長。そういうことですか……」
「どういうことだ?」
「この間少しお話ししましたが、作る方のパティシエをまとめる管理職に戻ります。それで、長年考えていたことを実践しようかと考えています」
「和菓子を作るということか?」
「うちとタイアップして一緒に何か和菓子の商品を作って販売しませんか?」
「……君、そんなこと可能なのか?」
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