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「もちろん、企画してから稟議にかけないとダメですが、おそらく通るでしょう。俺が結婚を考えている元部下の実家の料亭。本気だと分かるはずです」
「いい話だが、君が大変だろう」
「すみれを渡さないためです。何でもやります」
「……誠司さん、ありがとう!」
私は嬉しくて叫んでしまった。父はしばらくして言った。
「あちらが何を言ってくるかわからないが、年に一度一時期だけの出店で相談してみよう。菓子の話は後だな。何かあればすぐに連絡しよう」
「そうしてください。一緒に戦いましょう。あ、一応、お兄さんにも伝えてください」
「ああ、そうしよう……すみれ」
「はい」
「……いい人を探して来たな。見直した」
「へ?あ、はい」
「それに、悪かったな。早くお前の気持ちを……」
「ううん、私も悪い。逃げてばかりいたから……」
「沢島君」
「はい」
「本当にありがとう。すみれを頼む」
「はい。お任せください」
彼は私に笑って見せた。
電話を切ると私は嬉しくて彼に抱きついた。
「誠司さん、ありがとう」
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