カボチャプリンの恩人

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「……そ、そうね。確かにこれは美味しいわ……」 「そうでしょう。きっとここのスイーツがお好きなら僕と意見が合うはずだと勝手にオススメしてしまいました。よかったらどうぞ。これも最後の一個だったんです。お譲りしますよ」 「……え?そ、そんな悪いわよ」 「いや、いいですよ。わざわざ遠方からこのコンビニスイーツのために来店されたんですよね。お疲れ様でした。どうぞ。僕は近いのでまた来ます。二時過ぎにね」  彼がウインクしてそう言うと、お客さんはすみませんといいながら、赤くなってそれを買うとそそくさといなくなった。 「……ありがとうございました」  茶髪で百八十センチはあるかという長身の男性は、一重の涼やかな目元が印象的。そしてキリッとひきしまった口元。いわゆるモデルみたいなイケメンだ。白のTシャツにラフジーンズ。本当にこの辺の人なのかな?あんまり来てなかったけど。 「いや。大変だね。誰も助けてくれないなんて……可哀想に」  彼は後ろに隠れた店長を暗に言っている。きっと聞こえているだろう。少しは反省しろって感じ。
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