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「随分成長したな。俺がいなくなるからって、睨むなんて偉くなったな、田崎」
「……」
「課長、少し私もやりますよ。あ、定時までしか出来ませんけど。振って下さい」
桜井さんが私を見て苦笑いしながら課長に言った。
「いや、桜井の入力スピードに比べたら田崎はまだまだだ。今の状況にあぐらをかいてもらっては困る。まだ伸びしろがあるということだから、田崎には頑張ってもらおう。何しろ、来年も人事は新人女子が入らないぞ」
「「ええー!?」」
そうなのだ。私が入ってからというもの女子の新人が入ってこない。えーん、だからいつまでも下の人がやる仕事もやっているのだ。
「どうしてですか?」
「そうですよ」
「……まあ、ちょっと予定より内定者が減ってしまってだな。うちは後回しということに」
課長が小さな声で困ったような顔をした。実は最近うちの菓子の売れ行きが悪いと営業から聞いた。新しい商品が少ないこともあるようだ。
やはり、開発する人に有能な人がいないと菓子会社は未来がない。有紀さんは別なところであんな美味しいケーキを作ってる。人材流出じゃん。
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