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「誠司さん?」
「なんだ?」
「私わかっていなかったかも。そんなに会えなくなるんですね。そういえば、開発の人ってここで見たことないですね。書類が送られてくるくらいで、たまに課長が誠司さんと喧嘩に来てたくらいしか記憶にない。しかも半年に一回程度」
「喧嘩って、おい……まあそうだな。あそこに入るには除菌も必要だし、機密もあるので普通の人は入るのも難しい」
「そうだったんですね。ある意味、密室ですね」
「まあ、そうだな」
「私、入社して二年目なのに行ったことないです。そういう場所だっていうことですね。でも甘い香りが立ちこめていて、きっと甘い雰囲気があるから社内恋愛したんじゃないんですか?有紀さんと……」
ワザと言ってみる。
「ま、そうだな。今度も甘い雰囲気になるかな?誰かと?」
にやりと私を笑って見下ろした。私は彼の背中を叩いた。
「裏切り者!両親とお兄ちゃんにも紹介したのに、裏切るんですか?」
「じゃあ付き合っているのを……異動する前に公表するか?」
「え?そ、それは、ちょっと……」
絶対みんなからいじられる。やだよ、針のむしろ。
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