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「なんだよ?俺が心配なんじゃないのか?」
私は彼を見上げて言った。
「心配させるようなことをするの?あっちってどんな女性が多いんですか?もしかして有紀さんみたいな美人が大勢いるとか?あっちの採用って別だからどんな人がいるのか知らないし……料理ができるんだから女子力高い人が多いのかな」
「まあ、そうだな。以前のお前ほど出来ない人は絶対にいない」
「……ひどい」
「あ、おいおい、どうしてそんな顔するんだよ。おい……」
私が彼にしがみついて肩を震わせたら、背中をさすり始めた。
「公表したいのは俺だ。今まで俺がお前の周りを牽制してきたんだ。男どもは気づいている。伏見も気づいてる。だから多分大丈夫だとは思うんだが、異動で他の男も入ってくる。お前の笑顔に俺以外の奴もやられる可能性があるだろ。心配なのは俺だよ、馬鹿だな」
「……誠司さん」
私の涙を拭うと社内なのにキスを軽くしてくれた。
「いよいよお前の上司は卒業だな」
「確かにそうですね。料理の師匠はまだ継続してくださいね」
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