上司卒業

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「そうだな。よし、俺は先に戻る。あ、それと今日は一緒に食事でもして帰るか?お前、桜井の仕事もやるんだろ?俺のは今日やらなくてもいい」 「はい」 「じゃあ、後でな。お前、顔落ち着いてから入ってこい。目が赤い」 「もう、誰のせい?みんなに見せつけて、課長にいじめられたって言うからいいです」 「すみれ。人がせっかく我慢してやっているのに……いいぞ、じゃあもっと泣かせてやろうか?」  そう言うと、腕を引っ張って急にキスをした。深いキス。足が折れそうになって、身体をぎゅっと抱き寄せられた。 「……ん、ん……ああ……」  私の目を親指でこすり、唇を離した。 「口紅落ちた。悪い。じゃあな」  そう言って、自分の唇を指で拭くと出て行った。  とうとう、異動が発表になった。  なんと、彼の代わりに春日課長が人事へ異動になった。彼が楽しみにしてろと私に言ったのはそういうことだったのか。  そして、彼は予告通り商品開発課長になった。つまり、パティシエ復活だ。  須田先輩は春日課長のいた営業部へ異動になった。そして、新人の男の子が人事に入ることも発表された。
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