不思議な再会~沢島side1

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 立ち上がった田崎は「えー!」といいながら、バタバタと足踏みして残念そうに座った。ああ、面白い。やっぱりこいつを入れて良かった。吹き出した俺に気づいたんだろう。恥ずかしそうに赤くなってこちらを見た。桜井はそれを見てため息を吐いた。 「田崎。マカロンはもう売り切れかもしれないが、フルーツケーキはまだあるかもしれないぞ」 「え?」 「じゃ、桜井頼んだぞ。田崎、定時まではまだ時間が少しある。頑張れよ」  驚いた顔をしている田崎を残して、ほくそ笑みながら後ろを向いて自分の席へ戻った。 「沢島。自分のところだけ男女ふたりも新人いれるなんて、お前人事だからって勝手じゃないか。俺のほうにも回して欲しいって言ってあっただろ」  振り向くとそこには同期で親友の春日。営業二部一課の課長だ。ちょくちょく息抜きに人事くる。そして俺相手に雑談をする。 「何をこんなところで遊んでるんだよ、春日。お前のところには去年二人入れたはずだが……あ、そうか、一人辞めちゃったんだよな。だから、男しかいないんだったな」 「……沢島お前。わかっていながら何故新人をよこさない」
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