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「それはそうだな、うちは去年我慢したし、今年はいいだろ?」
春日は、桜井の横にいる田崎を見て言った。
「ああ、あのポニーテールの子がここの新人女子か?なんか、お嬢様風だな」
「うん、そうだな。家柄はまあそうらしいが、中身は結構天然で面白い」
春日は俺を見ながら言った。
「珍しいな。お前がそんな風に笑うの久しぶりに見た。よほど気に入っているのか?」
「いや、お笑い担当も兼ねて入れたんだ」
「はあ?何だそれ?」
俺はニヤリと笑うと、春日を見た。
「まあ、俺も焼きが回ったかな。疲れがたまってどうやら正常に頭が働かなくなってきたかもしれん」
「お前、人事もう四年目だよな。澄川が辞めてからそんなになるのか……」
「……」
「ああ、すまん。じゃあな、そうだ出張旅費のことで来たんだ。担当は?」
「ああ、桜井だ」
そう言うと、春日は桜井のほうへ向かって行った。有紀が辞めてからそうか、四年になるのか。有紀はうちで商品開発を担当していた。彼女と俺は製菓専門学校の同級生だった。
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