失敗と励まし

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失敗と励まし

 私は課長にも言われたとおり、何かやる前に立ち止まって確認することを忘れてしまう。おっちょこちょいな上に注意深さが足りないと桜井さんにも言われていたのだ。  とうとう、それでやらかした。  三年目の人達を集めた研修で、資料をコピーする仕事をして、間違えて昨年の分をコピーしてしまった。しかも、人数分×5ページ。  研修のために、他の会社から来ていた講師の人も自分のプリントが配られていなくて、お怒りだった。その場で急いで印刷したが、時間がなくてもういいと怒られてしまった。来年から来てもらえないんじゃないかと部長にも言われた。本当に落ち込んだ。  いつもなら、すぐに気づいて訂正して下さる桜井さんが三年目で研修を受ける立場だったため、気づくのが遅れてしまったのだ。  二百枚近くの用紙を無駄にしてしまい、四年目の先輩に怒られた。  研修が終わった翌日、ようやく私達新人の歓迎会が開かれた。  他の部はすでに二週間前には開かれていたが、うちは研修があったので出来なかったのだ。 「本当にすみませんでした」  研修から戻ってきた桜井さんに謝ると、彼女は私をじっと見つめて言った。
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