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私の元気がないので、武田君が私の代わりに部長へお酒を注いだりしていたが、武田君は男性。やはり私が代わった。ピッチャーから部長のコップへビールを注いだ時に慣れないのもあって盛大にこぼしてしまった。
「田崎さん、君はおっちょこちょいだな。もう少し慎重にゆっくりやりなさい。出来ないわけじゃないからさ」
「……はい。すみません」
部長にも、気にしていたことを言われて傷に塩を塗り込まれた感じになった。部長は桜井さん達若い綺麗な女性陣のところへ乗り込んでいった。
課長はそんな私を見て、コップを差し出した。
「ほれ。練習しろ」
「え?」
「ほら、ビール入れてくれよ」
「あ、はい」
気を取り直して、沢島課長に慎重にゆっくりビールを入れた。すると今度は入れすぎて泡が流れてしまい、課長が急いで口を付けて飲んでくれた。
「す、すみません。はあ」
テーブルの上を布巾で拭いて謝った。すると、課長が言った。
「らしくないなあ。どんなことがあっても頑張るのが田崎だろ?苦情にも負けず頑張ってバイトもやってきたくせに。というか、お前、バイト先でも何かやらかしたりしてただろ、きっと」
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