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「ええー?慰めた側からそれですか……はあ」
すると、課長は言った。
「まあ、俺とやる仕事の時はキチンと見張っていてやる。あまり構えずにお前らしくいろ。また、えくぼ付きの笑顔を見せてくれ」
私はびっくりして課長の顔を見上げた。
「何だ?おい、泣くなよ。元気づけたのにこれじゃ、怒って泣かせたみたいになってるぞ。俺が怖いという噂がさらに広がるじゃないか」
気がつくと目が潤んでいた。つむった目から涙がひとつ落ちた。彼は手を伸ばして涙を拭いてくれた。
すると、「課長ー!」と言いながら、桜井さんと伏見さんがこちらへ来た。
「課長、彼女を泣かせるほど叱るのやめてください。私この間言い過ぎてしまって反省してるんです。ごめんね、田崎さん。私だって新人の時は色々やらかしたのに、つい桜井さんと比べちゃって。本当に言い過ぎたの。ごめんね」
伏見さんが涙を拭いた私を見ながら謝っている。それを見て桜井さんも身を乗り出して言った。
「そうですよ、課長が叱ったら怖いんですからだめでしょ。もう、泣いちゃうほど怖いんですよ。自覚して下さい。田崎さん、大丈夫。大丈夫だよ」
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