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そう言って、桜井さんは隣に来ると私の背中を撫でてくれた。
「そうですよお、課長は二年くらい前まで本当に怖かったんです。最近少し笑顔を見せてくれるようになったってみんなで言っていたのに、新人さん相手に復活させなくても……」
伏見さんも言い募る。
すると、驚いたように課長が言った。
「おいおい、誤解だよ。俺は慰めてやってたんだよ。そしたら泣き出したんだ。うれし泣きだよな、田崎?」
私は、うなずいた。
「え?本当に?いじめているようにしか見えなかったですけど……」
「お前達、俺の優しさを知らないな」
すると伏見さんがすぐに言い返した。
「知るわけないじゃないですか。私が二年目で課長が来た時なんて、本当に怖かった。全く笑わないんですもん。どうやったら笑わせられるかとかみんなで話していたくらいですよ」
「……そうだったか?」
「私も新人の頃は怖かったですよ、課長のこと……」
桜井さんもうなずいている。課長って昔はそんなに怖い人だったんだ。笑わない?嘘でしょ、私のことを見る度に隠れて笑ってるの知ってるぞ。
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