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なんか、そう言われるとそうなのかなと思うから不思議。でもいいや、みんなを笑顔に出来るなら何でもいい。迷惑かけてしまったし、この際、私は天然というポジションでもいい。
「良かったな、田崎。みんな、お前のこと大好きだぞ。あんなにポカをしても許されるなんて幸せな奴だな、お前」
「やっぱり、課長はちっとも優しくないですね」
私が言うと、桜井さんがうなずいた。
「本当に、ひと言余計なんですよ。イケメンなんだから笑って終わればいいのにね」
「……何か言ったか?小さい声で言っても聞こえてるぞ、桜井」
そう言って、課長がこちらをじろりと見た。確かに怖い。そろそろお開きにしようと部長が言うので挨拶をして終わった。皆、最後の挨拶でこの間のことを謝った私を拍手で大丈夫だと励ましてくれた。嬉しかった。
その日は、翌日も会社だったので一次会でお開きになった。沢島課長と私は、最寄り駅が同じなので一緒に帰った。
「そう言えば、田崎はひとり暮らしなんだろ?実家料亭って言ってたし、お前も料理得意なのか?」
聞かれたくない質問だった。
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