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「田崎。お前、引っ越した方がいいかもしれない。遅くなって帰るとき怖くないのか?」
「実は怖いです。一度、コンビニの夜のシフトで家まで男のお客さんに追いかけられたことがあったんです。だからそれ以降、朝から夕方までのシフトに変更しました。でも入社してから帰りが遅いときもあるから、たまに怖いんです。そういうときは走って帰ります。私、逃げ足速いんですよ」
課長は膝を折って、呆れている。
「何、中学生みたいなこと言ってんだよ。すぐに引越しろ。そうだ、次の家が決まるまで、俺のうちで特別に部屋を貸してやる。俺は3LDKだが、一部屋余っている。鍵もかかるぞ。引っ越し先が決まれば出ていけばいい」
「ええ!?な、なにいってんですか、課長。訳わかんない……」
「いや、結構本気だぞ。これは危ないだろ。しかも一階角部屋ってお前何考えてんだよ」
「契約したときは安かったし、何も考えてませんでした……」
「はー。親御さんここを見に来てないのか?これを見たら普通の人間は反対するぞ」
「うちの親は忙しいんです。ほぼ一年間休みありません。兄も修行中だし同じです」
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